人気の少ない海辺。風通しがいい日陰で、
穏やかな風を受けて、毛並みが揺れている。
釣り人に魚をおねだりするつもりなのか
遊び相手を探しているのか。
新上五島の街並みと猫は絵になる。
観光エリアから少し離れて、
地元の人々が暮らす集落を散策していると
細い路地裏からひょこっと顔を出すのだ。
そして「見ない顔だね」とでも言うような
表情で
こちらをちらりと一瞥し、
石造りの路地や、
草木の茂る斜面へとすーっと去っていく。
ほとんどの猫は、この島で生まれ、
この島で一生を送る。
だからなのか、独特の雰囲気を
まとっているような気もする。
新上五島を訪れると、人や自然と触れ合うのも
もちろん楽しいのだけど、
猫たちとの会話を自分勝手に想像して
よそ者気分を味わうのも、
これまた醍醐味と言えるのだ。